「発熱」と書いてあるインナーを着たのに、駅のホームでは寒い。電車の中では汗ばむ。降りたら、また冷える。冬のインナーで、こんな思いをしたことはありませんか。
先に、結論です。
- インナーは、薄手の長袖1枚が基本です。暖かさは、上着と小物で足します
- 「発熱」は、汗や湿気を吸っている間だけ。ずっと温め続けてくれるわけではありません
- 汗をかいて服が濡れると、体が冷えます(汗冷え)。暑くなる前に、上着を脱ぎましょう
- 首元や袖口から見えないものを選び、重ねて試着してから買います
素材やカイロの説明は、公的機関や研究、メーカーの資料をもとにしています。選び方は、目安として紹介します。
「発熱インナー」でも寒いのは、なぜ?
吸湿発熱は、繊維が水分を吸うときに出る熱を使う仕組みです。人は、汗をかいていなくても、皮膚から水分を少しずつ出しています。インナーがその水分を吸って、熱に変わります。
ただ、繊維が吸える水分には限りがあります。いっぱいになると、発熱は止まります。吸った水分が乾くときは、逆に熱が奪われます。「吸っている間は暖かく、乾くときは冷える」ことを繰り返すので、ずっと温め続けてくれるものではありません。
デサントスポーツ科学に載った実験でも、発熱の測定値が高かった綿100%のインナーが、着て休んだり運動したりすると、比べた中で服の中の温度が一番低くなりました。綿が悪いという意味ではなく、「発熱」の表示や数字だけでは、着て暖かいかは分からない、ということです。
汗冷えは、汗をかいたまま外に出ると起こる
汗冷えは、東京都の冬の山の広報誌でも注意されています。寒いからと着込むと、動いたときに思った以上に汗をかき、濡れた服が体温を奪います。対策は、次の3つです。
- 重ね方を工夫して、汗をかきすぎない
- 暑くなる前に、こまめに脱ぐ
- 肌に触れるインナーは、乾きやすいものにする
山の話ですが、「歩く→暖房の効いた電車で汗ばむ→外に出て冷える」という流れは、冬の通勤でも同じです。

汗をかく日のおすすめ素材ランキング
肌に触れるインナーの素材を、汗冷えしにくい順に並べた目安です。
- ポリエステル:繊維そのものはほとんど水を吸わず、生地のすき間で汗を肌から離して広げ、乾かします。「吸汗速乾」と書かれたものが目印です
- ナイロン:濡れても吸水性が低く、早く乾く素材です
- ウール:濡れると熱が出ることが知られていて、空気を多く含む暖かい素材です。外で待つ時間が長い日に向いています
- 綿:汗を繊維に吸い込むので、濡れた生地が肌のそばに残りやすくなります。着心地はさらっとしていますが、たくさん汗をかく日は冷えやすくなります

ポリエステルとナイロンは、冬は静電気が起きやすい面もあります。素材はあくまで目安で、同じ素材でも、生地の厚さや編み方で変わります。買ったあとは、一度着て確かめてください。
選ぶときの5つのチェック
1. 基本は「薄手の長袖1枚」
- 暖かさは、厚手のインナーではなく、上着と小物で足します。着込みすぎると、汗をかいて冷える原因になります
- 環境省も、腹巻き・Tシャツ・股引・靴下などの下着に、軽くて薄い機能性素材を使うと、体の中心が温まると紹介しています(パンツの中に履くインナーは「裏起毛パンツ(メンズ)は本当に暖かい?」で紹介しています)
- 首・手首・足首は、マフラー・手袋・靴下などの小物で温めます(環境省が勧める「三つの首」)。靴下の選び方は「冬の靴下の選び方(メンズ)」で紹介しています

2. 「汗をかく日」か「外で待つ日」かで考える
- 歩く距離が長く、電車や職場が暖かい日は、薄手の1枚にします。上着は、電車に乗ったら脱ぎます
- 外で立つ、待つ時間が長い日は、保温を優先します。首・手首・足首を小物で温めます
- 室内で過ごす時間が長い日は、薄手の1枚にして、羽織りで調整します

3. 「発熱」の文字より、タグの素材と着心地を見る
- 「発熱」「保温」は商品の売り文句です。素材の割合は、タグに書いてあります
- 汗をかきやすい人は、ランキング上位のポリエステルやナイロン、「速乾」と書かれたものを候補にします
- 合うかどうかは、汗の量や着る時間で変わります。買ったあと、休日に一度、駅まで歩いて電車に乗る、いつもの動きで着て確かめます
- ニットの素材表示の見方は「ニットの洗い方(メンズ)」、タグの記号は「洗濯表示の読み方」で解説しています
4. 首元と袖口から見えないものを選ぶ
- シャツの第一ボタンを外した状態と、ニットの襟ぐりを、鏡で見ます。インナーの襟ぐりが浅いと、首元から見えやすくなります
- 腕を前に出して、インナーの袖が袖口から出ていないか見ます
- あえて見せるなら、白かオフホワイトの無地にします
見えないものを選ぶ考え方は「ぽっちゃりメンズの冬コーデ」、袖口から少しのぞかせる方法は「痩せ型・細身メンズの冬コーデ」で紹介しています。

5. 重ねて試着して、職場に予備を1枚置く
- インナーの上に、いつも着るシャツ・ニット・アウターを重ねて、腕を上げ下げします。肩や脇がつっぱらないか、袖が上がってこないかを確かめます(見方は「男性服のサイズ感の見方」)
- 職場に予備を1枚置くと、汗ばんだ日に替えられます。汗が引かないうちに、上着を着て外へ出ないようにします

カイロを使うなら、低温やけどに注意
東京都が2012年に、カイロを入れるポケット付きの肌着を調べました。カイロを入れた肌着の中は、短い時間で体温よりかなり高くなっていました。肌着だと、熱くても取り出しにくく、我慢してしまいがちです。背中や腰骨のあたりは、特に低温やけどになりやすい場所だとされています。
NITE(製品評価技術基盤機構)も、カイロなどは長時間同じ場所を温めないよう呼びかけています。調査は2012年のもので、今の商品とは違う可能性があります。
- 手を温めるときは、アウターのポケットにカイロを入れて握ります。熱くなったら、すぐ手放せます
- 肌に近い層に入れて着る使い方は、熱くなっても外しにくいので避けます
- カイロの袋の注意書きを守り、同じ場所に長く当て続けません
- 貼るカイロの貼る場所と、靴下用の使い方は、「カイロの貼る場所(男性)」で紹介しています

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