コートを買うとき、タグを見て、手が止まる。「毛」「ポリエステル」「羽毛」と書いてあるけれど、何が違うのか分からない。
素材の違いは、暖かさだけではありません。濡れたとき、毎日着るとき、洗うときに、はっきり差が出ます。
先に、結論です。
- コートは、ウール。 辞書では、保温性と吸湿性に富み、弾力があると説明されています。形のきれいな服に向く素材です
- ダウンは、軽くて暖かい代わりに、濡れに弱い。 水を吸うと、ふくらみが減って、空気の層を作れなくなるためです
- 中綿ジャケットは、濡れに強く、洗いやすい。 保温性はダウンが高い傾向ですが、近年は遜色ないものもあります
- 選ぶときは、素材の暖かさより、着る場面(雨や雪の日があるか、歩く距離、手入れの手間)で決めます
素材の特徴は、辞書、消費者庁、国民生活センター、雑誌系のサイトをもとにしています。場面ごとの選び方は、選ぶときの目安として紹介します。
一番上の写真は、同じ男性が、左からウールのコート、ダウンジャケット、中綿ジャケットを着た例です。

ウールのコートは、なぜウール?
チェスターコートやステンカラーコート、ピーコートなど、形をきれいに見せたいコートは、ウールが中心です。辞書には、次のように書かれています。
- 柔軟で、保温性・吸湿性に富む(デジタル大辞泉)
- 常温の空気中で、16%の水分を吸う。吸湿性が高い(世界大百科事典)
- 1本1本の繊維が、波のように縮れていて(クリンプ)、弾力に富む(世界大百科事典、百科事典マイペディア)
寒さをふせぎながら、体からの湿気も吸います。弾力があるので、形が戻りやすく、きれいな形で着る服に向きます。
写真は、チャコールグレーのウールのコートの肩から襟元を、近くで見た例です。織り目が見えます。

ウールの弱点は、摩擦と虫
All Aboutの記事では、ウールやカシミヤの寿命は、手入れをすれば10年以上とされています。弱点も、紹介されています。
- お尻や肘など、摩擦の多い場所が光る(テカリ)
- 毛玉は、帰宅後のブラッシングで防ぐ
- 虫食いは、保管方法を見直すサイン
- 生地が薄くなって、重さの割に寒く感じたら、寿命のサイン
ブラシのかけ方や保管は、「コート・ダウンの手入れ方法」で解説しています。
ポリエステル混は、何が違う?
タグには、ウールが「毛」「羊毛」「ウール」「WOOL」のどれかで書かれます。ほかの繊維が混ざっているときは、混紡などと書くか、すべての繊維名が書かれます(消費者庁)。
違いが出やすいのは、毛玉です。All Aboutの記事(洗濯・シミ抜き職人の神崎健輔氏)によると、ウールは毛玉ができても、自然に落ちやすいとされています。ポリエステルやアクリルは、繊維が強くて落ちにくく、毛玉が目立つ傾向があります。
ウールとポリエステルは、静電気の性質が逆です。ウールのコートの下に、ポリエステルのインナーを着ると、静電気で毛羽立ちが増えやすい、とも説明されています。
ウールの保温性や弾力を生かしたいなら、タグで、「毛」の割合を確かめます。
ダウンジャケットは、なぜダウン?
ダウンジャケットは、冬の寒さが厳しい日や、長く外にいる日に頼れる服です。中身の羽毛は、2種類あります(BE-PAL)。
- ダウン:水鳥の胸の、綿毛のような部分。羽軸がなく、軽くて、保温性に優れる
- フェザー:羽から取れる部分。保温性はダウンより劣るが、弾力があって、形を保つ
ダウンの割合が大きいほど、性能が高いとされます。ただし、フェザーが入っていても、品質が低いわけではありません。BE-PALの記事は、目安をダウン70〜90%としています。

ダウンの数値は、2つだけ見る
- ダウン率:中身に、ダウンが何%入っているか
- フィルパワー:ふくらみ具合を示す数値。大きいほど、保温性が高い
BE-PALの記事では、街で着るなら、フィルパワーは600程度で十分とされています。700〜800以上は、高級品の目安です。
写真は、ネイビーのダウンジャケットを着た例です。

ダウンの弱点は、濡れること
ダウンは、水を吸うと、かさ高が減って、空気の層を作れなくなります(BE-PAL)。雨や雪の日は、表生地の撥水加工が、助けになります。
寿命は、5〜10年が目安です。クリーニングしてもふんわり感が戻らなくなったら、サインです(All About)。洗い方と干し方は、「コート・ダウンの手入れ方法」にあります。
通販では、中綿の組成が、表示と違っていた例もあります。国民生活センターが2023年に公表したテストでは、紳士用コートのダウンが、表示の約半分でした。その分、ポリエステルが多く入っていました。
中綿ジャケットは、なぜ中綿?
中綿は、ポリエステルなどの化学繊維で作られます(BE-PAL)。ダウンと比べて、次の特徴があります。
- 水に濡れても、乾きやすい(BE-PAL)
- 自宅で洗いやすい(BE-PAL、ROOMIEの商品紹介記事)
- 着ぶくれしにくい(ROOMIEの商品紹介記事)
保温性は、ダウンが高い傾向です。BE-PALの記事は、近年は遜色ないものもあるとしています。
雨や雪の日がある人や、洗う回数を増やしたい人は、中綿が選びやすい素材です。
写真は、オリーブグリーンの中綿ジャケットを着て、雨の日に歩く例です。

場面別|どの素材を選ぶ?
- 通勤で、ジャケットの上に着る: ウールのコート。形がきれいです。脱いだ姿の選び方は「冬のオフィスカジュアル(メンズ)」にあります
- 雨や雪の日が多い、自転車や長い距離を歩く: 中綿ジャケット、または表生地に撥水加工のあるダウン。雪の日の靴と歩き方は「雪の日の服装(メンズ)」にあります
- 寒い地域、外にいる時間が長い: ダウン
- 手入れの手間を減らしたい: 中綿ジャケット
着はじめる時期は、素材ではなく、日中の最高気温で決めます。「コートはいつから着る?(メンズ)」を参考にしてください。
タグで、3つだけ確認する
中綿が入ったコートは、表生地、裏生地、詰め物の3つの組成が、タグに書かれます(消費者庁)。買う前に、次を見ます。
- ウールは「毛」「羊毛」「ウール」「WOOL」のどれかで書かれる。混ざっているときは、割合を確かめる
- 羽毛は、「ダウン」「フェザー」「その他の羽毛」に分けて書かれる
- 「ダウンファイバー」「スモールフェザー」は、タグに使えない言葉(消費者庁)
ダウンの表示と、買うときの注意は、「冬のアウターの選び方」にもあります。
次に読む記事
- コートの丈・肩・身幅の見方は「冬のアウターの選び方」
- 手入れと保管は「コート・ダウンの手入れ方法」
- 気温に合わせた重ね方は「気温別の服装の目安」
- ニットの素材と洗い方は「ニットの洗い方(メンズ)」
- 首元の巻き方は「メンズのマフラーの巻き方」
- ぽっちゃり体型のコート・ダウンの選び方は「ぽっちゃりメンズのコート・ダウンの選び方」







